成人式の前撮りも無事に終えて、それに、家族連れで賑わった夏休みも終わってしまえば私も暫し休みも取れる。そうすれば、また、旧暦の七夕を皮切りにして旧盆も来るし沢山の行事も続く。その為には、今の内に体力を蓄える必要がある。そのように考えていましたのになかなか思うようには物事いかないようで。直ちに入ってきたのが一週間でという短期での着付けの受講の問い合わせである。其れも、なんと、外交官をしておられるご主人を持つ奥様から。それに、沖縄出身の女性でしたね。「確かに、二、三年前にも同じようなケースがあったな」。と思い起こしながら。然し、長年着付けの現場にいての経験からして着付はそんなに容易くいくものではないことを知っている私は。そのために、「着物は、皆さんが考えているように簡単にはいきませんよ。確かに、着る物ですからね、体に纏う事は誰にでもできますよ。然し、人前に出て、それも人様にお見せするような着付となれば膠付けというわけにはいかないですよ。確かに、此方は指導する側ですから、希望者にはその指導はしますが。従来なら、実技一時間、学科一時間という受講のやり方ですから着るだけで最低ひと月はかかりますからね。一週間でと仰るのならば、おたくは、朝十時に入って夕方七時までの間 びっちり勉強することができますかそうでなけれな絶対に無理ですね。それに、何もお持ちでないならば、練習用のお着物も小道具も全て無料で教室から貸し出しますし。当然、一週間では完全に着ることができるよう責任をもって指導いたしますので受講料は一日一万づつの七万は頂きますよ。これは絶対に安いと思いますがね。何なら、他も沢山当ってみてからお考え下さい」。とお伝えしましたが。然し、「明日から」。と仰っていた割には待ってども待ってども見えません。然し、私の中には、其の方は必ず来るでしょう！という確信のようなものが当然の様にありました。何故ならば、教材も全て無料で提供して八時間、九時間、付きっ切りで指導して一万ぽっきりだなんて、これほど割の合わない馬鹿馬鹿しい事は誰もしないことを私は知っていたからです。案の定、問い合わせの日から更に二日も過ぎて又電話が入りました。そうなると、練習期間は、ご主人が待つ国へお帰りになる日まで数えて五日間。それも、その間に私には絶対に欠かすことのできない七夕のお供えやら墓の掃除があります残りは三日間。
然し、 必要に迫られた上の、限られた時間内での着付けの勉強ということもあれば、相手もそれこそ必死です。それ以上に、此方も、いい加減な技術を国外で披露されては堪らない。日本の、いえ、沖縄の名倒れだと思うことが先にたち必死です。然しまた、そのような強い思にさせるのは、やはり、彼女の気立ての良さや可愛さがあったからでもあるのですよ。こんなに小さな沖縄から出て行って沖縄のすばらしさを伝える大きな役目をしてくれるのですからね。ありがとうと言いたい気持ちいっぱいで自分が持っている技術のありったけ全部でも持たせて頑張らせてあげたい気持ちですからね。ロシアに近いその国は寒さ厳しい国でしょうけど体に気を付けて元気で頑張ってくださいねーではまた逢う日まで達者で暮らせよー